この記事では、幸福と繁栄をもたらすとされる七人の神々について解説します。彼らは多くの恩恵をもたらすと信じられています。
内容は以下の通りです:
- これらの神々の起源とその意味
- 各神々の名前と彼らがもたらすとされる恩恵
- これらの恩恵を受け取る方法(お守りや神々を巡る巡礼など)
記事では、これらのポイントに焦点を当てています。
七福神とは?
日本の伝統に根ざした特別な神々のグループ、七福神とは福をもたらすとされ、日本文化において重要な役割を果たしています。
日本の伝統的な七福神は、平安時代から室町時代にかけて、インドや中国から伝来した六神と、日本固有の神である恵比寿を含めた七神から成り立っています。
これらの神々は、それぞれ独自の恩恵を持ち、合わせて「七福」と呼ばれ、豊かな福徳をもたらすとされています。
この「七」には、「多くの」という意味が込められており、七神が一堂に会することで、さらに大きな恵みがもたらされると信じられています。
七福神それぞれの神様の名前とご利益は?
日本の伝統的な七福神には、それぞれ独自の役割と恵みがあります。
これらの神々には特定の順位はなく、時代を遡ると、最も古い神は大黒天です。他の神々は時を経て追加され、現在の七福神の形が形成されました。
ここでは、これらの神々の名前、読み方、そして彼らが持つ特別な恵みを紹介します。
恵比寿様(えびす様)
「恵比寿様」は、日本の七福神の中で、唯一日本発祥の神様です。
恵比寿様は商売繁盛、災難除去、そして豊かな漁獲を象徴しています。
彼はよく鯛を持って描かれ、これは彼の海の神としての起源を示しています。
恵比寿様は、イザナギとイザナミの子、蛭子命(ひるこのみこと)、または大国主命の子、事代主神(ことしろぬしかみ)としても知られています。
鎌倉時代から、彼は商売の繁栄と成功をもたらす神として広く崇拝されてきました。
大黒天様(だいこくてん様)
大黒天様は、豊穣、子孫繁栄、出世運を象徴する神様です。
彼はしばしば袋を担いで描かれ、「大黒さん」として親しまれています。
この神様の起源はインドにあり、マハーカーラ(「大いなる暗黒」という意味)として知られ、ヒンドゥー教のシヴァ神の化身の一つとされています。
平安時代、最澄によって中国から日本に持ち込まれ、特に天台宗、真言宗、日蓮宗において重要な信仰対象となりました。
日本では、国土を築いた神、大国主命と習合して、豊かな収穫と繁栄を司る神様になりました。
大黒天様は、福を呼ぶ袋を背負っており、中には望むものが何でも出てくるとされています。
また、手に持つ小槌は、振ることで願いを叶える力を持つと信じられています。
毘沙門天様(びしゃもんてん様)
毘沙門天様は、願いの成就、悪霊の退散、そして富と貴をもたらす神様です。
典型的には槍を持った姿で表現され、「びしゃもんてん」と呼ばれています。
この神様は元々インドの財宝の神、クベーラとして崇拝されていました。
中国に伝わると、四天王の一員として仏教を守護する神となり、武神、守護神の地位を確立しました。
日本では平安時代に伝来し、特に庶民の間で「富の神」として広く信仰されるようになりました。
また、武将たちからは勝利と勇気を授ける神として崇拝されています。
弁財天様(べんざいてん様)
弁財天様は七福神の中で唯一の女性神で、「べんてんさん」として親しまれています。
彼女は芸術、学問、恋愛の成就を司る神様です。
この神様の起源はインドのヒンドゥー教にあり、水の女神サラスヴァティとして崇拝されていました。
仏教に取り込まれた際、彼女は弁財天として知られるようになり、音楽、学芸、言語の保護者とされました。
日本では奈良時代から信仰が広まり、財宝の神様とも考えられています。
また、弁財天様は神道の市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)や仏教の妙音菩薩と同一視されることもあります。
布袋尊様(ほていそん様)
布袋尊様は、「ほていおしょう」として知られています。
彼は千客万来、家族の繁栄、家庭の幸福をもたらす神様です。
この神様は中国の唐時代の実在の僧侶で、定住せずに旅をしながら心の真実や精神性の重要性を説いていました。
彼は受け取った施しを大きな袋に入れて背負っていたことで知られています。
布袋尊様にまつわる伝説には、彼が雪の中に寝ていても雪が積もらなかったというものがあり、死後には弥勒菩薩の化身とみなされるようになりました。
日本では鎌倉時代に禅宗の画として紹介され、その大きなお腹、袋、温かい笑顔から、富と繁栄の象徴とされました。
布袋尊様の袋は「堪忍袋」としても知られ、忍耐や寛容さを象徴しています。
福禄寿様(ふくろくじゅ様)
福禄寿様は、財運と福徳の招来、長寿の延伸、人々からの尊敬と好感を司る神様です。
この神様は中国の道教に由来し、子孫繁栄、財産の豊かさ、健康と長寿の三徳を象徴しています。
また、福星、禄星、寿星という三つの星を神格化した形で信仰されています。
福禄寿様は日本において、鎌倉時代と室町時代に中国の神画を通じて紹介されました。
彼は福、徳、長寿の神として日本で広く崇拝されるようになりました。
寿老人様(じゅろうじん様)
寿老人様は、長寿と幸福、家庭の円満さ、福徳と知恵を象徴する神様です。
この神様は中国の伝説にその起源を持ち、道教の修行を経て不老不死の仙人になったとされています。
彼は南極老人星の化身とも考えられています。
日本では鎌倉時代に伝来し、仙人の姿で描かれ、長寿の象徴である桃や自然との調和を象徴する鹿を伴っていることが多いです。
また、寿老人様と福禄寿様とを同一の神様であるとされることもあります。
このため、七福神の中では他の神様(例えば吉祥天)と交替で表現されることもありました。
七福神の関連アイテム
七福神に関連するアイテムには、その神々の霊力が宿っているとされています。
これらのアイテムはお寺や神社で容易に手に入れることができ、それには「宝船」や「福笹」、「福銭」、「打ち出の小槌」などが含まれます。
これらを自宅の床の間やリビングに飾ったり、財布に添えたりすることで幸運を引き寄せることができます。
- 宝船は七福神が乗る船として描かれることが多く、様々な縁起物が積まれています。
最初の宝船は単に稲が積まれていたとされていますが、室町時代に七福神が乗る絵が描かれ始め、江戸時代には広く普及しました。
特に、日本の海の神である恵比寿が含まれていることから、海を渡る宝船のイメージは自然と受け入れられました。
江戸時代には、お正月の夢占いとして、宝船の絵を枕の下に敷いて眠る習慣がありました。 - 福笹は、十日恵比寿などの際に配られ、鯛や大判小判、打ち出の小槌などが飾られることがあります。
これらは家運の繁栄や商売繁盛をもたらすとされています。 - 福銭は様々な寺社で手に入り、持っていると他のお金を引き寄せると信じられています。
これを大切に保管するのも良いですし、人に贈ったり使ったりしてご縁を広げ、さらにお金を招くとされています。
全国にある七福神めぐり
七福神巡りは江戸時代の天明の大飢饉時に広まった伝統的な習慣です。
この習慣は、飢饉からの救済を願う人々によって始まり、時代が安定すると行楽の一環として人気を博しました。
当初、この巡りはお正月の松の内(関東では1月7日まで、関西では1月15日まで)に行われるのが一般的でした。
現在でも多くの人がお正月に参拝しますが、年間を通していつでも巡ることができ、同じように利益が得られます。
参拝者はご朱印やスタンプを集めたり、お守りや置物などの記念品を手に入れることができます。
また、いくつかの七福神巡りのコースはハイキングコースとして整備されており、気楽にに出かけるのにも最適です。
このようにして、七福神巡りは健康的で楽しい体験となっています。
七福神が多くの寺に祀られているのはなぜ?
七福神が多くの寺に祀られているのは、神仏習合の歴史的背景に基づくものです。
一見すると、神様が寺に祀られているのは奇妙に思えるかもしれませんが、これにはそれぞれの神様の起源が関係しています。
例えば、大黒天、毘沙門天、弁財天は元々仏教の守護神です。
布袋尊はもともと僧侶であり、福禄寿と寿老人は道教の神様で、日本の神道とは異なる起源を持っています。
これらの神様はお寺の境内に設けられた堂に祀られることが多いです。
そのため、七福神巡りでは寺院への参拝が主流となります。
また、明治維新以前の神仏分離政策が実施されるまでは、神社と寺院が同じ場所に存在し、神様と仏様が混同されたり、同一視されることがありました。
これらの神仏は、私たちにとって大切な存在であり、時にはスーパーパワーの源として頼りにされることもあります。
関西3都の七福神めぐり
京都 都七福神めぐり
京都の「都七福神めぐり」は、京都市内にある七つの寺院や神社を巡る参拝コースです。
このめぐりは、七福神それぞれに捧げられた寺社を訪れることで、健康、長寿、商売繁盛などの様々な福徳を授かるとされています。
京都の都七福神めぐりに含まれる主な寺社は以下の通りです:
- 恵比寿神 – ゑびす神社:商売繁盛や大漁をもたらす神として知られています。
- 大黒天 – 松ヶ崎大黒天:五穀豊穣や財運を司る神様です。
- 毘沙門天 – 東寺:勝利や財宝を授ける守護神とされています。
- 弁財天 – 六波羅蜜寺:芸術や知恵、美の神として信仰されています。
- 福禄寿 – 赤山禅院:富と繁栄、長寿の神です。
- 寿老人 – 革堂:長寿と幸福を司る神様とされています。
- 布袋尊 – 万福寺:家運隆盛や家庭円満の神様です。
これらの寺社を訪れることで、参拝者は七福神の各々から様々な祝福を受けると信じられています。
特に新年の時期には多くの参拝者で賑わいますが、一年を通じて訪れることができます
。また、各寺社は京都市内に点在しており、それぞれの場所に行くことで京都の歴史や文化に触れることもできます。
大阪 七福神めぐり
大阪の七福神めぐりは、大阪市内及びその周辺にある寺社を巡る参拝コースです。
このめぐりでは、各寺社で七福神の一柱を祀り、参拝者はそれぞれの神様からの福徳を得ることができます。
大阪には複数の七福神めぐりコースが存在し、それぞれに特色があります。
代表的な大阪の七福神めぐりの一例は以下の通りです:
- 恵比寿神 – 今宮戎神社:通常は商売繁盛や漁業の繁栄を司る神として信仰されています。
- 大黒天 – 大国主神社:財運や五穀豊穣を司る神です。
- 毘沙門天 – 大乗坊:勝利や財宝の神様として崇拝されています。
- 弁財天 – 法案寺:芸術や知恵、美の神とされています。
- 福禄寿 – 長久寺:富と繁栄、長寿の神様です。
- 寿老人 – 三光神社:長寿と幸福を司る神様です。
- 布袋尊 – 四天王寺:家運隆盛や家庭円満の神様とされています。
このめぐりを通じて大阪の歴史や文化を深く理解することができます。
多くの参拝者は特に新年の時期にこのめぐりを行いますが、年間を通じていつでも訪れることができます。
神戸 七福神めぐり
神戸の七福神めぐりは、神戸市内の各地に点在する寺社を巡る参拝のルートです。
神戸の七福神めぐりに含まれる寺社は、地域によって異なりますが、一般的に以下のような配置になっていることが多いです:
- 恵比寿神 – 長田神社(高速長田駅):商売繁盛や漁業の繁栄を司る神様。
- 大黒天 – 大龍寺(再度山):財運と五穀豊穣の神様。
- 毘沙門天 – 湊川神社(神戸駅):勝利と財宝を授ける神様。
- 弁財天 – 生田神社(三宮):芸術、知恵、美を司る女神。
- 福禄寿 – 須磨寺(山陽須磨寺駅、JR須磨駅)須磨富と長寿の神様。
- 寿老人 – 念仏寺(有馬温泉):長寿と幸福を授ける神様。
- 布袋尊 – 天上寺(摩耶山):家運隆盛と家庭円満をもたらす神様。
1日でまわることも可能ですが、ちょっと大変ですので何日かにわけて巡ってみてください。
まとめ
七福神の信仰は、商売の成功や幸せを願う人々の間で生まれた民俗的な信仰です。
これらの神々を巡ることは、新年だけでなく、一年中行うことが推奨されています。
もし自分の住んでいる地域に七福神を巡るコースが存在しない場合、七福神の置物や手拭いなどのアイテムを自宅に飾ることも良いでしょう。
これらのアイテムを飾ることで、福を家庭に招き入れることが期待されます。
どんな形であれ、七福神への信仰を通じて多くの福が訪れることをお祈りします。