運命は予測不能なものですが、成功の鍵を握るのは実は運かもしれません。
このテーマについて、ビル・ゲイツ、モーツァルト、ビートルズ(おそらくジャスティン・ビーバーも含む)など、世界で賞賛される天才たちの例が挙げられています。
現代の私たち日本人にとっても、運の良さが重要な役割を果たしているようです。
ここでは、『天才!成功する人々の法則』という講談社から出版された本を紹介します。
著者はマルコム・グラッドウェル、元「ワシントンポスト」の科学記者です。
この本では、世界中の天才たちがどのようにして成功を収めたかが詳述されており、英語学習にも有益な内容が含まれています。
運命を左右する誕生月の影響力
あなたの誕生月が将来に大きな影響を及ぼすかもしれません。
『天才!成功する人々の法則』では、カナダのアイスホッケー選手の中で1月から3月に生まれた選手が目立つと指摘されています。
これは、カナダのアイスホッケーリーグで年齢区分の基準とされる1月1日が関係しています。
12月生まれの選手は、同じ才能があっても代表チーム選出の確率が低くなる傾向にあります。
代表に選ばれればトレーニングと試合の機会が増え、選ばれない選手との差が広がります。
つまり、誕生月が運命の出発点を決めることもあるのです。
日本でも、年初めに生まれた子どもが不利と言われることがありますよね?
時代・国・家庭が人生に与える影響
『天才!成功する人々の法則』では、さまざまな例が示されています。
1830年代に生まれたアメリカの億万長者、稲作文化の勤勉さ、アメリカ南部出身者の怒りやすさや名誉を重んじる性質、権威を重んじる文化の航空事故など、生まれた時代や環境が人々の運命に大きく影響を与えます。
私の甥や姪も、就職難の時代に生まれ、同じ能力があっても異なる結果に直面しました。
多くの人が同じ体験をしているでしょう。
日本では新卒一括採用が重視され、これが生涯収入に大きく影響します。幸福とは直接的な関係はないかもしれませんが、運の要素は否めません。
才能の限界と十分性
一万時間のルールとその影響
世界レベルの演奏家になるためには、約1万時間の練習が必要とされています。
この理論はベルリン音楽アカデミーで行われたアンダース・エリクソン氏の研究に基づいています。
例として、TOEICで900点以上を目指す場合、約2,000時間の学習が必要であり、毎日3時間学習すると約3年で達成できます。
800点なら、より短い時間で可能です。
天才は練習によって生まれる
注目すべき点は、適切な練習を行ってもトップレベルに達しない生徒がほとんどいないということです。
つまり、天才と認められるレベルに到達するには練習が最も重要です。
一定の才能は必要ですが、十分な練習により天才の域に達することが可能です。
ビートルズもたくさんの練習をしていたそうです。
IQと適正なレベル
IQが高いと優れた大学への進学や良い職に就けると考えがちですが、マルコム・グラッドウェルの研究によれば、IQが195の男性でも大学を卒業できず農場で生活する例があります。
主な理由は社会スキルの欠如です。
また、ノーベル賞受賞者の出身大学を見ると、一流大学ばかりではないことがわかります。
ある程度のIQがあれば、ノーベル賞受賞の可能性は知能以外の要素、例えば想像力などに左右されます。
これはノーベル賞受賞者が必ずしも一流大学出身でない理由を示しています。
IQだけでは天才を判断できるのか?
天才性を測定する基準としてIQテストの妥当性に疑問があります。
例えば、アルバート・アインシュタインは小学生時代、言語の発達が遅れていたとされ、「頭が鈍い」と言われたことがありますが、若い頃には既にピタゴラスの定理を証明していました。
アインシュタインのIQテストの記録はないものの、彼のIQは推定で160以上とされていますが、言語の発達遅れを考慮すると、彼のIQが非常に高いとは言えないかもしれません。
アインシュタイン級の天才とIQの関係
アインシュタインのような天才の場合、その才能はIQテストでは計測できないものかもしれません。
ノーベル賞受賞者のような高度な才能も、IQだけで測りきれない可能性があります。
天才とされる能力は努力だけでは補いにくいとも考えられています。
やっぱり天才はいるんですよね!きっと・・・
技能習得に必要な努力と運の役割
成功するためには一万時間の習熟が必要とされています。
ビル・ゲイツは大学中退までの7年間、コンピュータープログラミングに没頭していました。
彼の没頭は才能によるものですが、家庭の経済的な余裕やコンピューターを導入した学校への通学など、幸運な環境にも恵まれていました。
「意志があれば道は開ける」と言われますが、ビル・ゲイツの成功は彼の強い意志だけでなく、運の要素も大きかったと言えるでしょう。
高いIQを持ちながら大学を続けられなかった青年と比較すると、ゲイツには運も味方していたと思われます。
まとめ
世界のトップレベルに達するためには、「運」が最も重要な要素とされています。
さらに、「一定の能力」と、家庭環境や時代といった運に左右される「練習」が必要です。
アインシュタインのような天才レベルの人々は、IQや一般的なテストでは計測できない特別な才能を持っている可能性があります。
私たち日本人は、さまざまな問題に直面しているかもしれませんが、比較的裕福な国に生まれ、勤勉な稲作文化の影響を受けています。
学習の機会や手段も豊富なので、後は「練習」に専念するだけです。
しかし、練習を持続させることは容易ではなく、その能力自体が一種の才能かもしれません。
自己反省をすると、全力を尽くす前に諦めた経験が数多くあります。
もし努力を続けていたなら、現在の自分はどうなっていたでしょうか。