年末のご挨拶と、新年のご挨拶。
どちらも一年の区切りを大切にする日本のビジネスシーンでは欠かせない習慣です。
一年の感謝を伝え、次の年へのご縁をつなぐ――そんな気持ちを込めたメールは、相手への印象を大きく左右します。
この記事では、年末年始の挨拶メールにふさわしい言葉選びやマナー、取引先・上司・社内向けの文例、送信タイミングの目安を丁寧にまとめました。
形式にとらわれすぎず、心のこもった一通で新しい年を気持ちよく迎えましょう。
年末年始の挨拶メールとは？ビジネスに欠かせない理由
年末年始の挨拶メールは、単なる形式的なメッセージではありません。
一年間の感謝を伝え、次の年も良い関係を続けたいという気持ちを表す大切なコミュニケーションのひとつです。
日々の業務では伝えきれない想いや労いを言葉にすることで、相手との信頼を深めるきっかけにもなります。
年末の「ありがとう」と新年の「これからもよろしくお願いします」。
この二つの言葉がそろうだけで、ビジネスのつながりにあたたかさが生まれるのです。
年末の挨拶が持つ意味
年末の挨拶には、「一年間お世話になりました」という感謝とともに、
「今年も無事にここまでやり遂げられた」という区切りの意味があります。
慌ただしい時期だからこそ、一言でも丁寧に挨拶をすることで、
「最後まできちんとしている人」という印象を与えられます。
特に取引先や上司など、日頃お世話になっている相手には、
一年の締めくくりとして感謝を伝える良い機会になります。
ビジネスにおける目的
ビジネスメールとしての年末年始の挨拶には、信頼関係の維持と印象の強化という目的があります。
一度のメールで契約が決まるわけではなくても、
誠実で感じの良いやり取りは、来年以降の取引や仕事の依頼につながることがあります。
また、社内向けの挨拶も軽視できません。
「今年もお疲れさまでした」「来年もよろしくお願いします」という言葉には、
チーム全体の士気を高め、職場の空気を柔らかくする力があります。
感謝を伝えることの重要性
ビジネスの現場では、成果や効率を優先するあまり、感謝の言葉を伝える機会が少なくなりがちです。
だからこそ、節目の挨拶で「いつもありがとうございます」と言葉にすることが、
相手の心に残ります。
たとえ短い一文でも、**「あなたを大切に思っています」**というメッセージが伝わるのです。
形式に見えて、実は人間関係を温める大事なチャンス――それが年末年始の挨拶メールです。
年末挨拶メールの基本マナーと構成
年末年始の挨拶メールは、内容そのものよりも「丁寧さ」や「気配り」が伝わるかどうかが大切です。
件名の書き方や文の流れ、結びの言葉など、ほんの少しの工夫で印象が大きく変わります。
ここでは、基本的な構成とマナーのポイントを整理しておきましょう。
✉️件名のつけ方と印象を左右するポイント
件名は、相手が受信トレイで最初に目にする部分。
内容がすぐに伝わるよう、**「年末のご挨拶」「本年の御礼」「新年のご挨拶」**などのキーワードを入れるのが基本です。
たとえば――
- 【年末のご挨拶】本年も大変お世話になりました
- 【新年のご挨拶】本年もどうぞよろしくお願いいたします
- 【御礼】本年のご支援に感謝申し上げます
絵文字や感嘆符は避け、シンプルで誠実な印象に。
特に取引先宛てでは、会社名＋自分の名前を入れると信頼感が高まります。
本文の流れと基本構成
本文は、以下のような3段構成で書くとまとまりやすく、読みやすいです。
- 冒頭の挨拶（季節の挨拶や導入）
- 感謝・御礼の言葉（一年間の支援や協力へのお礼）
- 締めの言葉（新年への願い・継続的な関係のお願い）
例文：
今年一年、格別のご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
来年も変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
文末には、「良いお年を」「素敵な新年をお迎えください」など、
やわらかい一言を添えると印象がぐっとあたたかくなります。
結びの言葉で印象を深めるコツ
メールの印象を左右するのは、最後の一文です。
ビジネスでは形式的になりがちですが、少しだけ相手に寄り添う言葉を加えると、記憶に残る挨拶になります。
- 年末の場合：「寒い日が続きますが、どうぞご自愛ください。」
- 新年の場合：「皆さまのご健康とご活躍をお祈り申し上げます。」
- 社内向けの場合：「今年も本当にお疲れさまでした。来年もよろしくお願いします！」
相手との関係性に合わせて、フォーマル度を調整しましょう。
署名・差出人欄のマナー
署名は「誰から来たメールか」を明確に伝える大切な部分。
部署名・氏名・会社名・連絡先をきちんと記載し、
改行や記号で見やすく整えるのがマナーです。
例：
――――――――――――――――――――――
株式会社〇〇〇〇
営業部 山田花子
TEL：03-xxxx-xxxx
E-mail：hanako.yamada@〇〇.co.jp
――――――――――――――――――――――
また、社内メールの場合は肩書きを省き、
「〇〇部 山田です」と簡潔にしてもOK。
どんな相手にも失礼のないよう、読みやすく整えることが印象アップの鍵です。
相手別！年末年始の挨拶メール文例集
送る相手によって、文面のトーンや言葉選びを変えることが大切です。
同じ「感謝」を伝えるメールでも、上司や取引先に送るのと、同僚に送るのとでは印象がまったく違います。
ここでは、相手別に使える実践的な文例を紹介します。
上司・社内向け（カジュアル／フォーマル）
【フォーマルな例文】
件名：年末のご挨拶
〇〇部 〇〇です。
本年もご指導・ご支援を賜り、誠にありがとうございました。
多くの学びの機会をいただき、心より感謝申し上げます。
来年も引き続きご指導のほど、よろしくお願いいたします。
どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
フォーマルな文面では、「感謝＋来年への抱負＋締めの挨拶」が基本。
改まった印象を大切にしたい相手に向いています。
【カジュアルな例文】
件名：今年もありがとうございました！
今年も一年間お世話になりました。
いろいろとご迷惑をおかけしましたが、いつも温かくサポートいただき感謝しています。
来年も一緒に頑張っていけたら嬉しいです！
良いお年をお迎えください。
社内向けのメールなら、少しやわらかい表現もOK。
普段の関係性をそのまま反映させた言葉づかいが、心に届きやすくなります。
取引先・お客様向け（感謝＋新年の一言）
【年末の挨拶例】
件名：【年末のご挨拶】本年も誠にありがとうございました
株式会社〇〇
〇〇様平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
本年も多大なるご支援をいただき、心より感謝申し上げます。
来年も変わらぬお引き立てのほど、何卒よろしくお願いいたします。
どうぞ良いお年をお迎えください。
【新年の挨拶例】
件名：【新年のご挨拶】本年もよろしくお願いいたします
株式会社〇〇
〇〇様謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
本年も貴社の益々のご発展をお祈り申し上げるとともに、
引き続きお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
取引先には「敬意＋感謝＋来年への期待」を3点セットで。
固くなりすぎず、誠意が感じられる言葉選びを心がけましょう。
社内一斉メールの注意点
社内全体に送る年末の挨拶メールは、簡潔さと温かさのバランスが大切です。
長文になると読まれにくいので、要点をまとめて一目で伝わる構成に。
【例文】
件名：年末のご挨拶
社員の皆さまへ
今年一年のご尽力に心より感謝申し上げます。
皆さまのおかげで、無事に一年を締めくくることができました。
どうぞお体に気をつけて、良い新年をお迎えください。
来年もチーム一丸となって、さらに成長できる一年にしましょう。
※一斉送信時は宛名を「社員の皆さまへ」などに統一し、誤送信防止のためBCCを活用するのが基本です。
送信タイミングとマナー
年末年始の挨拶メールは、“気持ちを伝えること”が目的ですが、送る時期を間違えると逆効果になることがあります。
ビジネスでは「相手の業務スケジュール」に合わせるのが何よりのマナーです。
年末年始の挨拶メールはいつ送るのがベスト？
- 年末の挨拶メール：12月25日〜28日頃が目安
→ 「年の瀬に入ってから、最終営業日前に届く」が理想です。
→ 仕事納め当日は相手もバタバタしているので、前日までに送ると印象が良くなります。 - 新年の挨拶メール：1月4日〜6日頃が目安
→ 「仕事始めの日の午前中」に届くとスマート。
→ 三が日中の送信は、ビジネスマナーとして避けた方が無難です。
もし休業期間が長い会社の場合は、スケジュールに合わせて前倒し or 後ろ倒ししてOK。
相手の休業日を確認しておくと、気遣いのある印象を与えられます。
返信マナーと配慮のポイント
挨拶メールを受け取った際は、できるだけ早く返信するのが基本。
特に取引先から届いたメールには、
「こちらこそ本年もお世話になりありがとうございました」
「来年もどうぞよろしくお願いいたします」
と一言添えるだけでも丁寧な印象になります。
返信が遅れそうな場合は、
「年明けのご挨拶と併せて返信する」形でも問題ありません。
ただし、自動返信を設定する際は、「○日まで休業中です」とだけ伝え、営業再開後の返信を予告しておくのがスマートです。
休業期間中の注意点
年末年始は多くの企業が休みに入るため、送信タイミングを間違えると見逃される可能性があります。
また、自社の休業案内と合わせて挨拶メールを送る場合は、以下のようにまとめると親切です。
件名：【年末のご挨拶】および休業期間のお知らせ
平素より格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
弊社は〇月〇日〜〇月〇日まで年末年始休業とさせていただきます。
本年中のご支援に心より感謝申し上げますとともに、来年もどうぞよろしくお願いいたします。
また、社内向けに送る場合も同様に、**「休業前の引き継ぎや挨拶を早めに済ませる」**意識が大切です。
メール1本で伝えるより、対面やチャットで軽く声をかけると好印象になります。
好印象を与える“心に響く”挨拶文の作り方
年末年始の挨拶メールは、形式だけの言葉になりやすいもの。
でも、少しの工夫でぐっと心に残る文章に変わります。
ここでは、「丁寧なのにあたたかい」挨拶文を作るコツを紹介します。
感謝の気持ちを自然に伝えるコツ
形式的な「お世話になりました」だけでは、印象に残りません。
大切なのは、“何に対して感謝しているのか”を具体的に書くことです。
✕「本年もお世話になりました。」
◎「本年は、新しいプロジェクトで多くのご協力をいただき、誠にありがとうございました。」
感謝の対象を明確にすると、相手も「ちゃんと覚えてくれている」と感じます。
たった一文でも、関係性を深めるきっかけになります。
相手に合わせた言葉選び
同じ挨拶でも、相手の立場や距離感によって言葉を変えるのがポイントです。
- 取引先や上司 → 丁寧で控えめな表現
例：「貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。」 - 同僚や後輩 → 柔らかく、親しみを込めた表現
例：「今年も一緒に頑張れて心強かったです！」
「誰に向けた言葉か」を意識するだけで、印象が大きく変わります。
具体的なエピソードを添えると印象が深まる
挨拶の最後に一年を象徴する一言を添えると、ぐっとリアルになります。
「〇〇プロジェクトでの挑戦が印象に残っています。」
「チームで協力できた一年を嬉しく思います。」
ほんの数行でも、その人との関係性や一年のストーリーが伝わります。
型通りの言葉よりも、“自分の言葉”で締めることが好印象の鍵です。
まとめ：年末年始の挨拶メールでつながりを深めよう
年末年始の挨拶メールは、ただの形式的なやり取りではありません。
1年の感謝を伝え、次の1年に向けて関係をより良くしていくための大切なコミュニケーションの場です。
メール1通でも、言葉の選び方やタイミングで、相手に与える印象は大きく変わります。
「お世話になりました」「また来年もよろしくお願いします」──
この短い言葉の中に、自分らしい誠意や温かみを込められるかどうかがポイントです。
良好な関係づくりの第一歩
挨拶メールを丁寧に書くことは、相手との信頼を育てる第一歩です。
特に、直接会う機会が少ない相手ほど、メールでの印象がそのまま関係性に反映されます。
たとえ短い文章でも、「相手のことを思っている」という気持ちが伝わると、年明けのやり取りがスムーズになります。
来年への期待を込めた一言で締めくくる
最後に一言、前向きなメッセージを添えることで、挨拶メールが“心に残る言葉”になります。
「来年も一緒に成長できる一年にしたいと思います。」
「新しい挑戦の年を、共に進んでいけることを楽しみにしています。」
そんな一言が、次の年のつながりをやさしく結んでくれます。
年末年始の忙しい時期だからこそ、相手の心を温めるメールを送りたいですね。
