地図を眺めていると、「あれ？公園のマークってどこ？」と感じたこと、ありませんか？
学校や病院、郵便局にはちゃんとした地図記号があるのに、公園だけは見当たらないんです。
子どものころ社会の授業で覚えたはずの地図記号を思い出しても、「公園」って出てこない…。実はそれ、勘違いではなく本当に存在しないんです。
でも、「なんで公園だけ？」って思いますよね。
公園って生活の中でいちばん身近な場所のひとつなのに、なぜ独自の地図記号がないのか。
その背景には、意外と深い理由があるんです。
この記事では、国土地理院の考え方から、実際の地図上での公園の表し方、そして時代とともに変化してきた地図の見せ方まで、やさしく解説していきます。
「地図っておもしろい！」と思ってもらえるように、ちょっとしたトリビアも交えながらお届けしますね。
1. 公園の地図記号がないって本当？
地図には、いろんな記号が載っていますよね。
学校、郵便局、病院……どれも見慣れたマークばかり。
でもよく見ると、「公園」のマークだけが見当たらないことに気づく人も多いはずです。
実はこれ、勘違いではなく本当に“専用の地図記号”が存在しないんです。
まずはその理由を探る前に、そもそも地図記号とは何なのかを整理していきましょう。
そもそも地図記号ってなに？
地図記号は、地図の中で「共通の合図」をつくるためのしるしです。
地形・施設・土地利用などを、一目で分かる小さなマークに置き換えてくれるおかげで、私たちは地図をすばやく読み解けます。
- 例：学校＝「文」マーク、郵便局＝「〒」、神社＝鳥居、病院＝十字 など
- ポイントは、誰が見ても同じ意味に読めることと、小さく印刷しても潰れないこと。
- もうひとつ大事なのが、**“機能がはっきりしていて分類しやすい”**という条件。学校・交番・灯台のように、役割がはっきりしている施設は、記号化との相性がとても良いんです。
この「わかりやすく・まぎれない・小さくても見える」という三拍子が揃って、はじめて地図記号として生きてきます。
「そういえば、“文”とか“〒”のマークって、なんで覚えやすいんだろう？」
「形がシンプルで、どこで見ても同じだからねぇ。地図記号は“誰でもわかること”が大事なんだと思うよ～。」
公園だけ記号が見当たらない理由が気になる！
ここで本題。
学校や病院のマークはあるのに、「公園のマーク」が見つからない――これ、勘違いではなく本当に“専用の地図記号”がありません。
なぜかというと、公園という存在は次のような特徴があって、ひとつのマークに固定しづらいから。
- 種類がとにかく多い：都市公園、児童公園、総合公園、運動公園、史跡公園、緩衝緑地…用途も規模もバラバラ。
- 表情が違いすぎる：芝生広場メインの場所もあれば、樹林帯・池・遊具・広場・運動施設が混在する場所も。
- 境界が曖昧になりやすい：道路や河川敷、公園緑地が連続していて、「ここからここまでが公園」と線引きしづらいケースも多い。
- “一個の点”で表すより、“面（エリア）や色、名称”で伝えた方が誤解が少ない：面としての広がりが大事なので、点マークだと逆に情報が落ちやすい。
そのため、地図では次のような**“代わりの表現”**が組み合わされます。
- 色（緑系の塗り）：広がりを伝えるために、緑色の面として表現。
- 樹木の記号や緑地のパターン：樹林帯・芝地など、土地利用の違いでニュアンスを補う。
- 名称表記（「○○公園」）：文字情報で確定させる。
- 園路・池・遊具・運動施設などの記号：中身の“顔”をディテールで見せる。
紙地図でもデジタル地図でも、「形のアイコン1個」ではなく、「色・面・文字・周辺要素の組み合わせ」で公園を伝えるのが基本。
だから、地図を眺めるときは――
❶ 緑の面を探す → ❷ 中に園路・池・広場が見える → ❸ 「○○公園」という名称が載っている
こういう“読み方の順番”で見ると、記号がなくても公園だとスッと分かるようになっています。
こうして見ると、地図記号がどんな考え方で作られているのか、そして公園がひとつのマークで表せない理由が見えてきます。
では、なぜ公園の記号だけ作られなかったのか？
次の章では、その背景をもう少し詳しく見ていきましょう。
2. なぜ公園の地図記号が作られなかったのか
公園は私たちの暮らしに欠かせない場所なのに、なぜ記号が作られなかったのか――。
そこには、単なる“忘れられていた”という話ではなく、地図をつくる側の明確な考え方と理由があるんです。
この章では、国土地理院の方針や、公園という存在の「多様さ」について、やさしくひも解いていきます。
国土地理院による公式な考え方
地図のルールを決めているのは「国土地理院」。
その公式見解によると、公園には特定の地図記号は設定されていません。
理由はシンプルで、「公園」という概念が広すぎるから。
たとえば「学校」や「郵便局」は、どこに行っても役割が同じですよね。
でも公園は、遊具がある場所もあれば、池や森、運動場、史跡が混ざっている場所もある。
つまり、公園という言葉ひとつでは、形も機能もまったく統一できないんです。
国土地理院の考え方では、こういった「形や用途が一定でない施設」は、一つの記号で表すことができない＝地図記号にはしないという方針になっています。
だからこそ、公園は「地図記号」ではなく、「緑の塗り」や「名称」で示すのが基本なんですね。
「えっ、公園ってそんなに種類あるの？ どこもブランコとか滑り台のイメージだけど。」
「ふふ、あれはほんの一部なの。森みたいなところも、史跡の中も“公園”なんだよ。」
公園の種類が多すぎて統一できなかった
一口に公園といっても、本当にいろんなタイプがあります。
ざっと思いつくだけでも——
- 街角の小さな児童公園
- 運動施設が中心の総合公園
- 花や庭園を楽しむ植物公園
- 歴史的建造物がある史跡公園
- 河川沿いや海岸沿いの広い緑地
これらをすべて同じマークで表すのは、やっぱりムリがあります。
同じ「公園」でも、場所によってイメージがまったく違いますからね。
たとえば、都会の小さな公園に、森林を表す「森の記号（針葉樹林や広葉樹林）」
を使ってしまうと、「ここ、森なの？」と誤解されてしまうおそれがあります。
逆に広い森林公園を「遊具がある公園」と同じように描いてしまうと、実際の雰囲気とは合わなくなります。
こうして考えると、**統一したアイコンを作るより、“それぞれの形や色で表現する方が正確”**なんです。
これが、公園だけが特別扱いになっている理由でもあります。
公園は「地名」や「色」で表すというルール
公園を地図に載せるときは、一般的にこの2つの方法で表されます👇
- 色で伝える：公園や緑地は“緑色”のエリアで塗られる。面としての広がりが分かるように。
- 名前で伝える：「○○公園」という文字表記で補う。
つまり、アイコンで“記号化”するのではなく、「色」と「文字」で見せるのが地図の基本なんです。
このルールのおかげで、どんな公園も表現できる柔軟さが生まれています。
小さなポケットパークから、大規模な国立公園まで、すべてを一つのマークで縛らずに済む。
それが、地図制作者にとっても利用者にとっても、いちばん公平でわかりやすい方法なんですね。
ここまでで、公園がなぜ記号化されなかったのかが見えてきました。
では実際の地図では、公園はどんなふうに描かれているのでしょうか？
次の章で、地図上の表現を具体的に見ていきましょう。
3. 実際の地図ではこんなふうに描かれている
「記号がない」とはいえ、公園がまったく描かれていないわけではありません。
地図をよく見ると、緑色のエリアや木のマーク、そして公園名がしっかり載っています。
それこそが、公園を表す“代わりの記号”なのです。
ここでは、国土地理院の地形図やGoogleマップなどを例に、公園がどんなふうに表現されているのかを具体的に見ていきましょう。
緑のエリアや木のマークが“代わりの記号”
公園の地図記号が存在しないとはいえ、
地図をよく見ると――ちゃんと「公園らしさ」を伝える工夫がされています。
たとえば、国土地理院の地形図では、公園や緑地に特別な色や記号は使われていません。
地図上では白地のままですが、池や建物、歩道などの配置から、「ここは人が集う広い空間なんだな」と読み取れるようになっています。
一方、Googleマップやゼンリンなどの民間地図では、公園や緑地が淡い緑色で塗られています。
色によって“自然がある場所”“人が休める場所”をひと目で感じ取れるように工夫されているんですね。
つまり、公園は「ひとつの形で示す記号」ではなく、地図全体の構成――色・配置・地名――の中で感じ取る存在。
地図上で広い空間や緑のトーンを見つけたら、そこが“人がほっとできる場所”だと自然に伝わるようになっています。
「なるほど～。だから地図の緑って“自然がある場所”なんだね！」
「そうそう。色で伝えるって、意外と感覚的だけど、ちゃんと意味あるんだよ。」
ゼンリン・Googleマップなど民間地図の表現例
紙の地図だけでなく、最近はスマホやカーナビなどのデジタル地図でも、公園の表現が少しずつ変化しています。
- ゼンリン地図：緑の塗りで面を表現し、中央に「○○公園」と名称を表示。
- Googleマップ：芝生のような質感を背景にした濃い緑のエリアで、公園名を文字で表示。
- Yahoo!地図：やや淡いグリーンを使い、地名と施設アイコン（トイレ・駐車場など）を合わせて見せる。
こうして比べてみると、どの地図も「緑色で示す」点は共通していますが、色の濃さや雰囲気、ラベルの置き方で印象がまったく違います。
言い換えれば、公園という場所は**“記号ひとつではなく、空気感で伝えるジャンル”**なんですね。
ちょっと比喩っぽく言うなら――
郵便局や学校が「点」で示される存在なら、公園は「面で感じる空間」。
記号ではなく“広がり”こそが本体です。
似ているけど違うマークとの見分け方
緑のエリアを見るときに、注意したいのが「似ているけど別物の記号」たち。
たとえば――
- 墓地や神社も緑の地に囲まれていることがある。
- 森林や果樹園も、見た目が似た緑色で描かれることが多い。
違いを見分けるコツは、「中に何が描かれているか」。
公園の中にある園路やベンチなども、国土地理院の地図では特別な記号がありません。
園路は細い線で、他の歩道と同じように描かれるだけ。
ベンチや遊具などの設備は省略され、あくまで“地形や施設の配置”から公園の雰囲気を読み取るようになっています。
一方で、鳥居マーク⛩や十字マーク✝があるなら、宗教施設や記念施設の可能性が高いです。
要するに、公園を探すときは「緑の中身」に注目！
見出しやラベルに「○○公園」とあれば、もう確実です。
4. 時代とともに変わる地図表現
紙の地図が主流だった時代と、スマホで地図を見る現代。
その間で、地図の表現方法は大きく変化してきました。
マークや線の意味だけでなく、「色」や「雰囲気」までが情報の一部になっているんです。
この章では、時代とともに変わってきた地図の進化と、公園の“見せ方”がどのように柔らかく変わっていったのかをたどります。
「昔の地図帳、折るのめっちゃ苦手だったわ～！」
「わかる～！でもあの紙の地図で道をたどるの、なんかワクワクしたわよねぇ。」
紙の地図からデジタルマップへの変化
昔は、地図といえば“紙”が当たり前でした。
折りたたみの地図帳を広げて、「あ、ここが公園だ」「この道は川沿いか」と指でたどる――そんな使い方をしていた人も多いはず。
そのころの地図は、限られたスペースの中にできるだけ多くの情報を詰め込む必要があったため、地図記号は**「簡潔で誤解のない伝え方」**が何より重視されていました。
だからこそ、公園のように形が一定でない施設は、記号化せず「色」で表すスタイルが主流になったのです。
ところが今は、スマホやパソコンの地図が中心。
ズームすれば細かい園路まで見えるし、上からの航空写真や3D地図で公園の広さまでわかる時代になりました。
こうなると、「点のマークで表す」よりも、写真やグラデーションで“雰囲気そのもの”を見せたほうが伝わりやすいんです。
紙の地図が「読み取る地図」だったのに対して、デジタル地図は「感じ取る地図」に進化した――そんな印象さえあります。
色やシンボルで伝える“やわらかい記号”の時代へ
現代の地図づくりでは、はっきりした線やマークよりも、やわらかい表現で雰囲気を伝える方向にシフトしています。
たとえば、Googleマップの公園は明るい緑で塗られ、境界線はうっすら。
芝生の色合いまで微妙に変化していて、視覚的に「気持ちいい場所」として印象づけています。
それに比べて、昔の地図帳の緑は一色ベタ塗り。
「緑地」としての情報は伝わっても、“行きたくなる感じ”までは表現されていませんでした。
最近では、子ども向けの地図や観光マップなどで、公園を「ピクニックしている人のイラスト」や「木陰で休む家族の絵」で表すケースも増えています。
つまり、地図は単なる情報ツールから、“体験を描くメディア”になっているんですね。
時代が変わると、公園の表現も変わる。
だけど「緑で描く」という基本は昔からずっと変わっていません。
どんな技術が進んでも、人が“自然”を感じる色はやっぱり緑。
その意味では、公園の地図表現はとても人間らしい進化をしてきたのかもしれません。
5. まとめ 公園の地図記号がなくても困らない理由
ここまで読んでみると、「公園に地図記号がないのも納得」と感じた方も多いかもしれません。
記号がなくても、色や形、そして地図全体の雰囲気で公園はちゃんと伝わるのです。
最後にもう一度、記号がないことの意味を振り返りながら、地図の中で“緑の場所”が持つやさしい役割を一緒に見つめてみましょう。
地図を眺めてみると、学校や郵便局には地図記号があるのに、公園だけは見当たらない。
最初はちょっと不思議に感じますよね。
でも、ここまで読んでくださった方ならもうわかるはず。
公園の地図記号は「ない」んじゃなくて、「形にしないほうがふさわしい」存在なんです。
「マークがなくても、“緑”を見るだけでほっとするなぁ。」
「そうね。それが公園のいいところね。地図の中でも、ちゃんと癒しの場所なんよ。」
公園には、遊具がある場所もあれば、芝生だけの広場、森や池を含む自然公園など、いろんな姿があります。
そのすべてをひとつのマークで表すよりも、緑色の広がりや名前で伝える方が正確でやさしい。
地図制作者のそんな思いが、今の表現方法に込められているんですね。
そして、地図を見る私たちにとっても、それはむしろ便利。
緑の色を見れば自然があることが伝わり、
“ここで少し休もう”“子どもと遊べそう”と、想像をふくらませるきっかけにもなります。
つまり、公園の地図記号がないことは不便ではなく、むしろ自由なんです。
それぞれの公園が持つ個性や雰囲気を、地図の中でもそのまま感じられる。
これって、ちょっと素敵なことですよね。
次に地図を開くときは、ぜひ「緑のエリア」に目を向けてみてください。
そこには、記号では語りきれない“街の息づかい”や“人の暮らしの場所”が、ちゃんと描かれています。
